「なんとなく不安」で入る保険が家計を圧迫する
保険は「備えあれば憂いなし」という言葉がある通り、万が一のときに家族や自分を守る大切な手段です。しかし現実には、「とりあえず勧められたから」「なんとなく入っておけば安心」など、漠然とした不安から加入しているケースも多く見られます。
問題は、そうして加入した保険が、本当に必要な保障内容や金額になっているかどうかです。必要以上に手厚い保障をつけてしまい、毎月の保険料が高額になっているとしたら、それはもはや“保険”ではなく、“負担”になってしまっています。
本当に必要な「保障額」はどうやって決める?
必要な保障額を考えるうえでの基本は、「万が一のときに残された家族が、生活を維持できるかどうか」を基準にすることです。
たとえば一家の大黒柱が亡くなった場合、「何年分の生活費が必要か」「子どもの教育費はいくらか」「住宅ローンはどうなるか」などを具体的に見積もります。
一般的には、
- 毎月の生活費 × 必要年数
- 子どもの進学費用(1人当たり500〜1,000万円目安)
- 住宅ローン残債(団信加入なら残らない場合も)
などを足し合わせて算出します。ここから、公的な保障や貯蓄でカバーできる金額を引けば、**“本当に保険で備えるべき額”**が見えてきます。
家族構成とライフステージで見直すポイント
必要保障額は、家族構成や年齢によって大きく変わります。
- 独身の20代〜30代: 最低限の医療保障でOK。死亡保障は少なくて済む。
- 子育て中の30代〜40代: 最も保障が必要な時期。収入保障保険や定期保険が有効。
- 子どもの独立後〜50代: 教育費の負担が減るタイミングで見直しを。
- 60代以降: 医療・介護に備えつつ、死亡保障は最小限で済むケースが多い。
特に見落としがちなのは、「保険は入りっぱなしにせず、定期的に見直すことが必要」という点です。
民間保険に入る前に「公的保障」をチェック
実は、日本には充実した公的保障制度があります。
たとえば、会社員や公務員なら「遺族年金」や「高額療養費制度」などを活用できます。
具体的には、
- 医療費の自己負担には上限がある(高額療養費制度)
- 働けなくなったときの「傷病手当金」
- 死亡時には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」が支給される場合あり
こうした制度を把握せずに過剰に保険をかけてしまうと、まさに“二重の備え”になります。「まずは制度でどこまでカバーできるか」を知ることが大前提です。
保険を“整理”して家計に安心と余裕を
保険は、入っているだけで安心ではありません。「本当に必要な分だけ、適切な形で備える」ことが重要です。
過剰な保険料を見直せば、毎月の固定費が軽くなり、その分を貯蓄や投資に回すことも可能です。
保険は“家計の守り”ですが、守りすぎて攻めを失っては本末転倒です。
FPのサポートを受けながら、あなたのライフプランに合った保険の“最適化”をしてみましょう。それが、家計に安心と自由を取り戻す第一歩になります。